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神戸の街の昼下がり、炎天下の下。
うちと紗希は使用禁止とされている屋上の上で、呑気に自作の弁当を食べている。
…使用禁止なのに人は両手で数え切れないほどいるし、中には先生もちらほら見える。
「なぁ、紗希」
「ハァ、何?」
二人とも暑いのか、少し息切れしながら会話をする。
「“放、送室の、花子さ、ん”、なん、だ、けど、」
「うん、」
「あれ、さ、いっ、しょに、い、かへん?」
「…は?待って、今ので暑さ和らいだんやけど。え、もう一回言って?」
…真顔で返事をしてくる紗希を見てたら、なんか息が切れてるこっちの方が可笑しいみたいに思えてきた。
「だぁーかぁーらぁ!」
見栄を張ってそう叫んだ刹那____
「少し黙れ。バレたらどうするんや」
算数教師のニュウドウカジカ(あだ名)に怒られた。
「......それはそうですけど...、、」
そういうと、隣でクスクス笑っていた紗希がコソッと話しかけてきた。
「おこられてやーんの、www」
「うっさいわ。というかお前が元凶やろ」
「は?なんでなん?」
本気で分からないのだろうか、素っ頓狂な声で聞いてくる
「お前が“放送室の花子さん”の話するからやろ」
「いやいやwそれ言ったらその話に乗ってきたゆりの方もやろ」
「…」
(何も言い返せない、、、)
「おいお前ら」
先程怒ってきたニュウドウカジカに話しかけられる。
「「はい?」」
怒られたというのもあってか、少し声が裏返る。
…というか何しれっと声合わせとんこいつ。
「次の授業まであと5分だけやけど大丈夫か?」
お弁当の方を指さしながら言ってくる。
「え?」
下を見ると半分以上残っているお弁当箱。
「あ、ちょ、待って____」
そう言った時には既にニュウドウカジカの姿はなかった。
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