(一章完結型)魔王は人格破綻者の勇者に愛でられる(第一章完結)

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 恍惚とした表情を浮かべ、カプリスに持ち上げられて膝の上に座らされる。  下半身だけ拘束魔法を解かれると、カプリスを跨いでいるせいで服の裾が持ち上がって捲れた。  下履きを履かされていないから微かに陰部が見え隠れしている。屈辱だ。 「先端が見えていますよ。触ってくれと言っているようですね」  ——アホか。ちゃんとよく見ろ。萎えまくって縮こまっているだろが……。  何も言う気になれなくて視線を逸らす。口付けで唇は覆われ、縦横自在に口内を貪られた。 「……っ!」  何とか体を動かそうとしていると、左腕だけ微かに動く様になっているのが分かって神経をそこだけに集中させていく。そして、思いっきり力を込めると、拘束が解けた。  次いで魔力制御装置も全力で引きちぎる。もうゼロコンマにも満たない時間の流れだった。転移魔法で出来るだけ遠くまで移動する。  ——何処だ、ここ。もしかして闇の森の近くか?  それならばついている。  即座に闇の森まで飛んでちょうど中間地点に降り立った。 「元魔王が何の用だ? その格好は奴隷用か? 討伐されて人族にでも飼われたか?」  下卑た笑いと共に背後に影が伸びる。視線を向けると巨大な魔族が立っていた。 「あ゛? 誰だお前…………」  見上げようとした時に魔族の首が飛んだ。  ——は? 「アフェ〜クシ〜オン〜、ど〜こで〜すか〜?」  思わず悲鳴を上げそうになり手で口を押さえる。  カプリスが長剣に巻きつけた細ベルトを持ってブンブンと振り回していた。その度に地面と森の木々が削れて空を舞っていく。  時折り焦れたように斜めに剣を振り払う。閃光が走り、森が斜めに削ぎ落とされる。至る所から阿鼻叫喚が聞こえてきた。  ——お前は破壊神か何かかっ!  幸いな事に己の姿は魔族の影になっていて見えていないみたいだ。  ——コイツの体が大きくて良かった。  倒れ込んできた体を支えながら、体の下に潜り込む。カプリスが通り過ぎたのを確認してからまた転移魔法で飛んだ……飛んだつもりだった。 「やーーーっと、見つけましたーーー。こんなところで隠れんぼしてたんですね」 「ひっ」  背後からガッシリと抱きしめられて、とうとう悲鳴が出た。空に浮いたまま抱きしめられているので、服の裾が風で靡く。 「このまま浮いたままブチ犯すのもありですね。そこの魔物の匂いが移っているのには嫉妬してしまいますが……。まさか犯されたりはしていないですよね?」  横に首を振る。 「ああ、良かった。でももう食べるのを我慢できないのでここでしちゃいましょうか? アフェクシオン……」  低音の声音で名を紡がれ、ごくりと生唾を飲み込んだ。 「どうした?」 「もう逃げないですよね? せっかく家の中で優しくしてあげようと思っていたのに逃げたのはアフェクシオンですもんね……?」  死を悟り、心を決めた。  近くにあった洞窟内に連れ込まれて、逃げられないように服を引きちぎられる。  立ったまま壁に背を預けて、不本意ながらも大人しくしていた。  先程とは違い、カプリスの機嫌は上向いてきているようだった。 「はっ、てめ、しつこい」  カプリスの指がずっと内部の前立腺をこりこりと刺激している。  そんな所を刺激されているのも未知なる体験過ぎて嫌だというに、カプリスは執拗に中を広げて行く。 「まだ足りない気がしますので念の為弛緩作用のある魔法をかけときますね」  ——どこに?  指を抜いて、服を脱ぎ始めたカプリスを眺める。  そこまでしなきゃいけないくらいデカいのかと男としての興味を引かれて、カプリスの下半身に視線を向けて後悔した。  ——アレはだめだ。アレに貫かれると魔の者は昇天する。  エスクカリバーは伝説だからいいのだ。実在しなくていい。 「てめえ、俺に何か恨みでもあるのか?」 「恨みなんてありませんけど? 愛してるだけです」 「それどうする気だ! 俺の拳くらいはあるだろが! 真っ二つに避けて死ぬわ!!」 「ふふ、可愛い。もう大袈裟ですね〜。アフェクシオンならきちんと治癒かけるので大丈夫です」  治癒をかけなきゃいけないレベルなのがまずおかしい。  アレを七十時間もハメられ続けたかつての同胞を讃えたくなった。  再起不能になったのも頷ける。同情しかない。 「壊すまで激しくはしないので大丈夫ですよ…………たぶん」  ——たぶんってとこが怖えよ! 「全然大丈夫じゃないだろ!!」 「ほら、口を閉じていないと舌噛みますよ」  引く気はないらしい。問答無用で押し当てられ、保身のために出来るだけ全身の力を抜いた。  それでも全然飲み込めなくて、正面にいるカプリスの首に両腕を巻きつける。 「は、やっば…………可愛い。テンション上がってきました」  即行で腕を離した。  この男のテンションだけは上げてはいけない。かつての同胞が体現している。
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