1. センセイ。

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ああ。 なんて優しいんだろう、先生は。 もしかして貴方は、 僕のこの想いを、貴方は知っているのですか。 僕を試しているのですか。 おかしな恋だとわかっています。 きっと身分不相応だと。 貴方のように落ち着きのある、歳の離れた、素敵な大人の男性(ひと)が、僕のことなど相手にしてくれるはずは無いと。 わかっています。 だけどやめられないのです。 貴方のことをずっと見つめ続けていた、ある日。 僕の友人に、見抜かれてしまいました。 彼は僕の隣の席で、いつも、僕にアドバイスをくれる優しい人です。 少し前のことです。 僕が昼食を持ってくるのを忘れてきた日があったのですが、彼はその時、購買で買ったサンドイッチを分けてくれました。 ”食べきれないから、いいんだ。 ただ、その代わり、登張くん。 一つ質問に答えてくれないか?” 不思議に思いながら、僕は頷きました。 “登張くん。 きみ、小樽(おたる)先生のことを、好きだろう?” ええっ。 なぜ、ばれたのだろう。 おそらく顔に出ていたのでしょうね。 返す言葉が見つからず黙っていたら、彼の顔がみるみるうちに綻んでいくのがわかりました。 “大丈夫、誰にも言いやしないさ。 確かに、素敵だもんな、小樽先生。 だけどさぁ、” だけど、なんだって? “きみには釣り合わないと思うなぁ。 まず、年上すぎる。 ーーーきっと相手にしてもらえないよ。” ああ、わかっているさ。 それ以上は言わないでくれるかな? きみに言われる筋合いはないよ。 サンドイッチ二切れごときで、僕のこの熱い想いを否定される義理など、どこにもありはしないはずだ。
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