かずら橋、炎上

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かずら橋、炎上

 二人は、かずら橋という平家の落ち武者が隠棲するために作ったというシラクチカズラという植物で作られた橋を渡っていた。 「この谷を超えて、あの道なき道を通って行くんだな?」 「ああ、もうすぐだ。頑張れ」  かずら橋は、非常に頑丈なつり橋だが、如何せん、植物でできているために、燃えやすい。 「んー。印出井。なんか熱くないか?」  真家が、印出井に声を掛けた。 「熱い? んな訳あるかい」  印出井は、半信半疑で後ろを振り返った。 「な、なんだぁ!!」 「あ? え! マジか!」  なんと、火の気のないはずの山中で、かずら橋が燃えている。 「や、やばい! 逃げろ!」  二人は、全速力でかずら橋を渡り切った。
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