8人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
「…大丈夫か?」
昔の恋を思い出していた私は、随分と長い間、思いに沈んでいたらしい。
「ええ。少し、昔を思い出していただけ」
私は夫、清川雅文に微笑んだ。
清川とは、春田への想いを捨てきれず、時々ここへ来ては泣いていたある日、話しかけられた。
最初は、ぞんざいにあしらっていたのだが、清川は、めげない。
清川は、春田と違って、少しズルいところもあるそんな男で、だが、そんな違うところが少し楽で…。
いつしか、付き合うようになった。
春田には、あれ以来、会っていない。
彼は今、幸せだろうか…?
それは、わからない。
けれど、もしも、会うことがあったなら…そんなこともあったねと、笑い合えればいい。そう思う。
今でも、色々な恋がここで消え、またある時は叶っているのだろう。
この、星の咲く木の下で……。
最初のコメントを投稿しよう!