1 春田と夏目

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 その一件でなんだか吹っ切れた夏目は、春田の意見の通り、例の女子達と話をした……。  と言うか、お互いに言いたい事をぶつけ合い、取っ組み合いになったあげく、お互いの親が呼び出しを食う騒ぎに発展したりした。  が、それでお互い、なんだかスッキリして、なんでも言い合える友達になれたのだから、それこそ、怪我の功名というものだろう。  そこからは、夏目は夏目らしく、学校生活を楽しめるようになった。  そのきっかけをくれた春田は、夏目の中で気になる存在となる。  そしてその思いの種は、芽が出て、成長し、やがて…花開く。  春田は、責任感が強く、一年二年はクラス委員を務めていたこともあって、クラスの中でも目立つ存在だった。  時々、真っ直ぐすぎて、周りと衝突することもあったが、夏目はそんな春田の真っ直ぐさから目を離せなくなってゆく。  三年生の頃には、春田は生徒会長を務め、夏目は何か自分にできることはないかと考えた結果、書記になって春田を助けることにした。  一緒に過ごす時間が増えるほど、夏目の心に咲いた花は、やがて実を結び、初めての「恋」となる…。    そして、隣町ではあるものの、春田とは違う高校へ進学する事が決まったのを知った夏目は、ある決心をした。
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