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2 神様のいたずら
神様のいたずら…そう言いたくなる出来事が起こったのは、夏目が高校二年の時。
その時、人口減少に伴い生徒数が減っていた高校二つで合同体育祭を開こうという案が持ち上がったのだが、候補として上がったのが夏目と春田の学校だった。
そして、双方の高校の体育祭実行委員として、再び春田と夏目が顔を合わせる事になったのは、偶然を通り越して、神様のいたずら…としか言いようがない。
初めての事なので、来年春の体育祭に向けて、山々が色づき華やかになる秋頃、夏目は再び、春田と顔を合わせた。
「久しぶりだねっ!元気だった?」
夏目はあえて春田に明るく話しかけた。
笑顔が引きつっていないか、暴れる鼓動を気づかれないかと心配したけれど。
少し大人びた春田は、そんな夏目に、ちゃんと笑顔で答えてくれた。
「聞くまでもなく、夏目は元気そうだな」
「あはは!元気なだけがとりえだからね!」
春田は、夏目に手を差し出した。
「体育祭まで、よろしく。夏目」
夏目は、手が震えそうになるのを気づかれないように、あえて春田の手をぎゅっと強く握りしめた。
「よろしくね!」
強く掴まれて少々痛そうだったが、春田も夏目も笑顔で再会を果たした。
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