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ただでさえ、学校のイベントは大変だが、二校合同となると決める事もやる事も山程。
特にやる気を出してもらおうと、二校の対戦にした事で各校生徒がやる気に満ち溢れるのは良い事なのだが…そうなると、当然、トラブルも増える。
体育祭が近くなって来るにつれて、問題となったのは、通称「夜練」と言われる、時間外の練習だった。
こっそりと集まり、夜遅くまで練習してしまうため、子供を心配する保護者から苦情が出始めた。
当然春田は、夜練の禁止を徹底したのだが…今度はやる気になっている生徒達から、不満が出てしまい、板挟みとなってしまう。
しんどそうにしている春田を、見ているのが辛くて、夏目は春田にとある提案をした。
「いっそのこと、許可しちゃおう!」
「え…それはちょっと」
「学校に、許可取るの。そうだな。夜の7時まで、学校の使用許可取って、学校で練習してもらう。だから、その他の夜練は禁止」
「それでも、夜遅くなるだろ。特に女子は…」
「ん〜いっそのこと、保護者にも協力してもらっちゃおうか」
「は?」
「車を出せる人には出してもらうってどう?無理なら、なるべく一緒にまとまって帰ってもらって、どうしても厳しかったら、先生達にも協力あおいじゃお!」
「………」
「大丈夫だよ!春田!みんなに協力してもらえればなんとかなるって!」
「みんなに、協力してもらう…」
「そ。けどその分、うちらはやる事増えるし大変になるけど…ね」
そう言って笑う夏目に、春田はつられて笑った。
「そうか。そうだな。よし!じゃあ、責任とって、夏目にも一緒に地獄を見てもらおう!」
「え!それはちょっと…」
「今更逃げるのは無しだろ!」
ここ最近、張り詰めていた空気がほどけて、高揚感が高まってゆく。
今ならば、なんでも出来そうな気がした。
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