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モブ子とダリオス殿下
「兄上、ぼくも混ぜてください」
天使だ……天使が降臨した。
ダリオス殿下、可愛い。
「無理。あっちに行け、ダリオス」
「いいじゃありませんか、失礼します」
眉をひそめ嫌がるリア様の横に座った。
前に座る私に、ダリオス殿下は微笑み。
「あなたは、兄上の何?」
私に質問をしてきた。
「えっ私?」
「そうです。兄上と付き合っているのですか?」
可愛い顔をしてグイグイと、聞いてくるダリオス様
「僕とナルが、付き合っている? お前には関係ない!」
さっきまでとは違い、キツイ口調なリア様。
それを聞いた、ダリオス様は
「兄上はいつも僕に冷たいですね。言い方もキツイ。ぼく泣きますよ」
えーん。えーん。と、あからさまな泣き真似をするダリオス殿下に、リア様は唇を噛み締め「悪かった、きつく言い過ぎた」と頭を下げたとたん。
「はい、許します」
「はっ、嘘泣きか……お前らしいな」
「フフ、僕らしいでしょ」
うーん? 君たち兄弟だよね? いくら腹違いとはいえ、一応は血が繋がってるのに、なんだか変な感じがする。
「そうだ、君の名前教えて」
「え? 私は男爵ティアンの娘、ナウルと言います」
その場に立って、スカートをつかみ会釈をした。
「ナウルちゃんかぁ。ナウルちゃんは兄上の事が好き?」
「えっ、リア様の事が好き?」
好きかどうかなんて、まだ会って間もないのに?
でも、少し気になる人かな?
その質問が恥ずかしくて、リア様を見ると、リア様は冷たく笑わない表情をして、どこか遠くを見ていた
どうしたの?
何故、そんな…
「リア様」
思わず、名前を呼んでしまった。
彼はハッとして、少し困った顔を浮かべた。
「あっ、ああ、すまない……少し、考え事をしていた。……ナルどうした」
「もう、リア様は。私、チーズケーキが食べたいですわ」
「はあ、まだ食べるのか? さっきら半分こだと言ったのに僕の苺のケーキをほとんど食べただろう? 夕飯が入らなくなるぞ」
そう言いながも、意地悪っぽく笑った。
そうそれ。やっぱり、その方がリア様っぽい。
「甘いものは別腹です。ダリオス様もどうですか?」
「ぼく? ぼくはどうしょうかな?」
メニューを見出すダリオス様に「ダリも、チーズケーキ好きだろ。頼むか?」さっきとは違い、リア様は優しい笑顔を見せた。
「はい兄上」
ダリオス様は、本当に嬉しそうに見えた。
そして、甘えた表情を浮かべて。
「ねぇ、兄上。明日、アイリーが来るんだけど、アイリーと仲良く出来るかな?」
「それはダリが、アイリー嬢をいじめなきゃできると思うぞ」
「そう? 副団長のライヒトさんが、押してダメなら引いてみな? 好きな子ほどいじめちゃうとも言ってたかな?」
はい? それは大人の駆け引きじゃない?
ダリオス殿下は14歳で、婚約者の子も同じ。
庭園でお茶をしたり、手を繋いで庭園を散歩すればいいのでは?
「なに? そんなやり方もあるのか」
はい、そこは納得しないのリア様。
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