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エピローグ
今日も普段通り会社に向かう。
記憶が戻った今、直人として振る舞うのは容易だった。
癖や仕草、言葉遣いまでうまく模倣できている。
しかし、真実が暴かれるのは時間の問題だろう。
直人を殺して顔を手に入れた代償はいずれ払わなければならない。
マリアの分もすべて罪を背負う覚悟はできていた。
だからせめて今だけは、二人で穏やかな時間を過ごそう。
「ただいま」
蓮は玄関の扉を開ける。
そして、出迎えたマリアを強く抱きしめた。
存在を確かめるように―。
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