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初めは『この前のお礼がしたいから食事でも』という話だったから誘いを受けた。
ただ、職場での至はとにかく話をしない。
あくまでも仕事上での会話のみで、基本無表情だし、格好良いけど近寄りがたい、そんなイメージの人。
そんな彼は仕事は出来るしクールでイケメンだけど、異性から恋人にするのは除外されるような残念イケメンだった。
食事に行った時も、どちらかと言えば私の方が話題を振っていたし、正直に言うと終始とにかく気を遣った。
でも、驚いたのはその帰りの出来事。
車で来ていたらしく、送っていくと言われて再び職場に戻って駐車場に停めていた車に乗って送ってもらったのだけど、自宅に着いた別れ際に『次もまた誘いたい』と言われたのだ。
一瞬聞き間違いかと思いつつ、戸惑いはした。
ただ、やっぱり上司からの誘いを無下には出来ないし、気は遣ったけど、まあ食事くらいならという思いから、『いいですよ、いつでも誘ってください』と答えたら、いつも笑顔を見せない至が嬉しそうに微笑んだ。
それを見た時、『楡木課長って、こんな風に笑うんだ』と思ったのと同時に、私よりも年下っていうのもあるのか、笑うと少し可愛いんだなとさえ思った。
そして、そこから更に、私たちの関係は変化を遂げていく事になる。
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