注意 恋愛注意報発令?!

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 ゴールイン! 地下一階の鮮魚売り場まで、なんとか走り通せたな。でも、体力が限界だよ。幸運にも鮮魚売り場に、水の張った手頃なバケツがあって、その中に魚を入れられた。 「はあ……疲れた……」  両足がガクガクとするし、腕もいたいので、魚を見守りながら一息入れていた。ふと、あたりを見合わすと、大勢の人が僕に大注目していた。 「あ、いや。僕の魚のペットがダダをこねてね。金魚鉢から逃げ出してどうしても、魚が食べたいって言うんだよ」  とても恥ずかしいので、僕が得意な冗談を言うと、皆信じられないものを見るかのような目でこっちを見つめ。迷惑そうな顔をしてきた。だけど、一人だけクスリと笑ってくれた人がいた。      その笑ってくれた人は、僕と同じ年恰好の女の子だった。その子は、クスクスと僕の顔の方を向いて、一通り笑うと、このデパートのエレベーターホールの方へとスタスタと歩いて行ってしまう。  僕はその子がとても気になって、魚の入ったバケツごと持ち出しては、エレベーターホールへと走った。
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