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初めてのアイスデート②
将を見上げると、目が合った。
「どうした?」
「ううん」
目が合っただけなのに、ちょっとドキドキする。
だって、将はイケメンなんだもん。
着てる服もオシャレだなって思う。今日は紺色の半袖シャツに、黒のデニムを合わせているけど、すごく似合っていた。
僕なんて、いつもと同じミントグリーンのカットソーに、ベージュのサマーカーディガンだ。小柄なせいでオーバーサイズになってる。
それにピアノ柄のショルダーバッグをななめにかけて、クロシェットの小さいぬいぐるみを下げている。僕の大好きな羊のキャラクターなんだけど、子供向けのイメージが強いから、よけいに幼く見えちゃうかもな。
「五十鈴、降りるぞ」
「あ、うんっ」
ぼんやり考えていると、将に肩をたたかれた。
いつの間にか電車は駅で停まっていて、急いで立ち上がる。
さりげなく手を握られて、そのまま電車を降りた。
将の手のひらは熱くて、クーラーの効いた電車の中にいたのに、汗をかいている。
暑がりだって知ってるけど、大変そうだなぁ。
もちろん、将が繋いでくれた手を離すわけないけど。
「将、どれに乗るの?」
「山手線に乗ろう。少し時間かかるけど、あとは乗り換えしなくていいからな」
「分かった」
山手線は何度も乗ってるから、ちょっと安心だ。
将と一緒なら、時間が退屈なんてこともない。
乗り換えてから目的地まで、将とおしゃべりしていたので、あっという間に店に着いた。
駅直結の商業ビルの中に、目的のカフェがあった。
入り口の看板には、アイスのメニューが載っていて、写真を見るだけでもおいしそうだ。
アイスだからテイクアウトなのかなって思ってたけど、中に入って食べるスタイルらしい。
席は自分で選べるみたいで、将は窓側に近い、二人がけのテーブルに座った。
女性客が目立つけど、一人で来てる人や、男性客もちらほらいる。
辺りを見渡している間に、将がおしぼりと水を持ってきてくれた。
「はい、五十鈴」
「ありがと」
「メニュー表はこれ」
「うん」
アルバムみたいなメニュー表を渡される。
ほんと、将ってスマートで気が利くよね。
メニュー表を開くと、アイス以外にもいろいろ載っていた。
「ランチもあるんだね」
「俺は食べたことないけどな」
「アイスだけ?」
「あと、ドリンク。セットになってるんだ」
「あ、飲み物もいろいろあるんだ」
テーブルにメニューを広げて、将と一緒に見る。
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