初めてのアイスデート②

1/1
前へ
/5ページ
次へ

初めてのアイスデート②

 将を見上げると、目が合った。 「どうした?」 「ううん」  目が合っただけなのに、ちょっとドキドキする。  だって、将はイケメンなんだもん。  着てる服もオシャレだなって思う。今日は紺色の半袖シャツに、黒のデニムを合わせているけど、すごく似合っていた。  僕なんて、いつもと同じミントグリーンのカットソーに、ベージュのサマーカーディガンだ。小柄なせいでオーバーサイズになってる。  それにピアノ柄のショルダーバッグをななめにかけて、クロシェットの小さいぬいぐるみを下げている。僕の大好きな羊のキャラクターなんだけど、子供向けのイメージが強いから、よけいに幼く見えちゃうかもな。 「五十鈴、降りるぞ」 「あ、うんっ」  ぼんやり考えていると、将に肩をたたかれた。  いつの間にか電車は駅で停まっていて、急いで立ち上がる。  さりげなく手を握られて、そのまま電車を降りた。  将の手のひらは熱くて、クーラーの効いた電車の中にいたのに、汗をかいている。  暑がりだって知ってるけど、大変そうだなぁ。  もちろん、将が繋いでくれた手を離すわけないけど。 「将、どれに乗るの?」 「山手線に乗ろう。少し時間かかるけど、あとは乗り換えしなくていいからな」 「分かった」  山手線は何度も乗ってるから、ちょっと安心だ。  将と一緒なら、時間が退屈なんてこともない。  乗り換えてから目的地まで、将とおしゃべりしていたので、あっという間に店に着いた。  駅直結の商業ビルの中に、目的のカフェがあった。  入り口の看板には、アイスのメニューが載っていて、写真を見るだけでもおいしそうだ。  アイスだからテイクアウトなのかなって思ってたけど、中に入って食べるスタイルらしい。  席は自分で選べるみたいで、将は窓側に近い、二人がけのテーブルに座った。  女性客が目立つけど、一人で来てる人や、男性客もちらほらいる。  辺りを見渡している間に、将がおしぼりと水を持ってきてくれた。 「はい、五十鈴」 「ありがと」 「メニュー表はこれ」 「うん」  アルバムみたいなメニュー表を渡される。  ほんと、将ってスマートで気が利くよね。  メニュー表を開くと、アイス以外にもいろいろ載っていた。 「ランチもあるんだね」 「俺は食べたことないけどな」 「アイスだけ?」 「あと、ドリンク。セットになってるんだ」 「あ、飲み物もいろいろあるんだ」  テーブルにメニューを広げて、将と一緒に見る。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加