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初めてのアイスデート④
「じゃあ、食べようか」
「うん!」
スタンドからアイスを取って、早速スプーンですくう。
三種類のフレーバーだから、ぎゅっとおさまってるけど、ちょっとずつスプーンで食べた。
それぞれ味がしっかりしてて、夢中になる。
「んーおいしい!」
「良かった。スイカも食べるだろ?」
「たべる!」
顔を上げると、将がスプーンにすくったアイスを差し出してくる。パクッと食べると、スイカの味が口に広がった。
これもおいしい。
「スイカだね!」
「ああ」
将が嬉しそうに笑う。
スイカ以外も、味見させてくれた。
チョコレートとヘーゼルナッツも甘かったけど、アイスだからさっぱりしている。
「将のアイスも、甘くておいしいね」
「だろ」
将が得意げに笑って、アイスコーヒーを飲む。
僕はコーンの上に乗っていたアイスを食べ終わると、スプーンをおいて、こんどはそのままコーンにかじりついた。
ワッフルコーンだから甘みもあって、ザクザクした食感のおかげで、アイスがよりおいしく感じる。
「そういえば、なんで将はコーンじゃないの?」
「ん?」
「コーンタイプの、あんまり買わないよね?」
スーパーで買うのも、カップアイスが多い。
「カップが好きなの?」
「まあ、そうだな」
曖昧にうなずいているけど、なぜかちょっと遠い目をしている。
「何か理由があるの?」
「……これいうと、笑われるから嫌なんだけど」
「え? 僕は将を笑ったりしないよ?」
僕を他の人と一緒にして欲しくない。
そう思ってじっと見つめると、将は苦笑して口を開いた。
「俺、もともと体温が高いだろ?」
「うん。暑がりだもんね」
「手のひらもかなり熱いんだ。子供の時はよく、ソフトクリーム食べてる途中でアイスが溶けてさ」
「えっ、そんなにすぐ溶けちゃうんだ?」
「溶ける。ソフトクリームは最後まで食べられたことがないし、手も服も汚れて散々だったからな。食べないようにしてるんだ」
僕は自分の握っているコーンを見たけど、アイスは少し溶けてるくらいだ。
「でもこれ、下まではアイス入ってないよね?」
「そうだけど、苦手意識がな……」
将はまた遠い目になってる。
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