キミとまた恋をはじめよう

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僕は太陽に照らされて煌めく川辺に沿って見慣れた土手を夏希を乗せて走っていく。この道は中高一貫の学校に通っていた僕と夏希の通学路だ。 「この道、久しぶり~」 朝が弱い僕を夏希は毎日起こしにきてくれていた。出掛けに母さんが持たせてくれたおにぎりを頬張りながら僕らは自転車で学校までの十分ほどの道のりを、たわいない話をしながら通っていたことがつい昨日のことのように思えてくる。 「あっ、みてみて理一。いま魚跳ねた~、鯉かも!」 「えっ、どこ?!」 僕が夏希の指さした方に視線をむけようとして僅かに自転車が不安定に左右にぐらんと揺れた。 「おっと」 「こら。ちゃんと前見て運転しなきゃ~」 「あのな、見ろっていったの夏希だろ」 「そうでした~」 「それに鯉とか見たことないし」 「あはは、バレた〜?」 僕は思わずふっと笑った。 嬉しくて楽しくて。 また夏希とこうしてくだらないことを話しながらこの道を自転車で走るなんて思っても見なかった。 もしかしたらこれは夢かもしれない。 僕が夏希に会いたくてたまらないから神様が仕方なく見せてくれた都合のいい夢なのかもしれない。 「……それでもいいや」 「ん? なんか言った?」 「いや、なんも」 今はただこの夢のような時間をただ純粋に楽しみたい。夏希と一緒に過ごしたい。
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