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幼馴染でお隣さんといえば定番、屋根伝いに部屋を行き来するやつ!
もちろん僕たちもできるよ! ゆーたの部屋は屋根越しのお隣さんだから!
普通なら、屋根の上歩いてゆーたの部屋に行けるんだけど、今日はどうだろう……。
ぎゃ!! 駄目だぁ……。
えい! と踏み出したはじめの一歩、激熱でした……。
夏は西日が差し込むから、屋根がホットプレートみたいにあっつあつ。
しょうがない、こういう時のためのマジックハンドも用意してあるんだ。ながーいやつ。
これをこうして、窓をつんつん、と……。
……。
いないみたい……。
いちお呼んでみよ。
「ゆーたぁ! いないのぉ?」
「今帰ってきたとこだけど?」
斜め下からゆーたの声がした。
玄関前にゆーたが立って僕を見上げてる。
「ゆーた! 聞きたいことがあるのー。こっち来てよぉ」
「汗かいてるから、シャワー浴びてからでいい? フットサルやってきたからさぁ」
ゆーたは僕と違って何でもできる優等生。
最近はフットサルやるのが楽しいみたい。大学でサークル入ったって、楽しそうに話してくれた。
「いーよー。待ってる」
「すぐ行くから」
僕が手を振るとゆーたは優しい笑顔で手を挙げてくれた。
ふふ。
ゆーたは幼馴染だけど、同時に僕の恋人でもあるのです!
かっこいい上に優しい彼氏。いーでしょ。
ゆーた、ええっと飯野佑太は、生まれた時から僕と一緒だったの。
僕が六歳の時にゆーたが生まれたんだけど、仲良しのうちのお母さんが初産だからってすごく気にしてて、僕連れて病院に行ったんだ。
もちろん、無事ゆーたは元気に生まれたよ。
あ、ちなみに僕は五人兄弟で、お兄ちゃんとお姉ちゃんと妹と弟がいるよ。
もうみんな自立しちゃって、家には僕しか残ってないんだけど。
僕? 僕は出て行かないよー。ゆーたと離れ離れになんてなりたくないもん。
ゆーたは今二十一歳かな? うん、そうだね。
去年のゆーたのお誕生日、ゆーたはお友達がいっぱいいるから、よそでお誕生日を祝ってもらって、その後、夜遅くだったけど僕と二人でお誕生日パーティをした。
僕がお母さんに教えてもらいながら焼いたバースデーケーキを、すごいじゃん、美味しそうってにこにこして褒めてくれたよ。
ケーキにロウソク立てて、部屋の明かりを消して、さあゆーたが吹き消そうって時に、……ゆーたはケーキじゃなくて僕にキスした。
それで、好きだよ、付き合ってって僕のことを抱きしめた。
ちょっとびっくりした。ゆーたも僕と同じこと想ってくれてたなんて。
僕は小さいころからずっとゆーたに片想いしてた。
ヘアカタログかファッション雑誌にでも載ってそうな爽やかイケメンで、しかも要領がよくてスポーツでも勉強でも何でもできちゃうゆーた。
鈍臭くてマイペースな僕を心配して一緒にいてくれてるんだと思ってたら、違うよって。
とまりのことが好きだから一緒にいるんだよって、言ってくれた。
だから、去年から僕たちは付き合い始めた。
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