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「私、結局のところただの下級神ですもん。小さな世界の管理をいくつか受け持ってるだけでして。もっと大きな、それこそ創造主クラスの上級神が決めたことには逆らえないんですよねえ。まあ、そういう神々もいちおー、同時のルールとか法律とか作って魂の選別してるみたいなんですけど。ちなみに上級神の皆様は、時間も空間も支配してるんで……貴方が世界征服を果たした“ウィンター・ワールド”の未来とかも知ってるわけです。そこまではいいですかあ?」
「まあ」
そういえば、昔女神に会った時にそういう話をしていたような。
正直クロヴィスからすれば目の前の女神も十分すぎるほど神なわけで、それより上の神々がどうのと言われもイマイチピンとこなかったのだが。
「ぶっちゃけますとね。貴方が世界征服したあの世界……なんとたった百年後には滅んじゃうかもしれなくて、大ピンチなんだそーです」
「……は!?」
何やら、とてつもない爆弾を落とされたような。思わず椅子を蹴って立ち上がるクロヴィス。百年。いや、確かに自分がいくら地盤を築いたといっても、そこに生きている人々の意思そのものが変わるわけではない。平和が未来永劫続くだなんて、そんなことは思ってもみなかったわけだが。
いくらなんでもたった百年後に滅ぶ、なんてのは承服出来る話ではない。それこそ、何のために自分達が何年もかけて勇者たちとの闘いに勝ったと思っているのか。
「待て……待て、待ってくれ!何故だ、一体何がどうしてそうなる!?」
もし自分達の世界がたった百年で駄目になるのなら、それは。
「それでは、俺たちが何の為に戦ってきたのか……っ」
「ストップ、そこまでですう。……クロヴィスさん、貴方がやったことは間違ってないんですよう?ていうか、私が命令したんですしね。でも問題は……人間も魔族も、心っていうのはそう簡単に変えられないってことなんですよねえ」
「……どういうことだ?」
「そのままの意味です。人間と魔族の間にある差別……それが、とんでもないものを生み出し、作り出そうとしてしまっています。あの兵器が完成すれば、世界は簡単に滅んでしまうでしょう」
だからお願いがあるんです、とウィンターは真っすぐクロヴィスを見て告げるのだ。
「あの学園に眠る兵器を手に入れて……もう二度と同じものが作られないようにしていただきたい。魔王クロヴィス……貴方は百年後の世界に転生して、二度目の世界征服を目指してもらえませんか?」
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