<2、どっかの馬鹿の後始末。>

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<2、どっかの馬鹿の後始末。>

 二度目の世界征服。  二度目の世界征服。  二度目の――世界征服? 「……さっぱりわからんのだが?」  頭の中で何度繰り返しても、まったく理解が追い付かない。クロヴィスがポカーンとした顔をしていることに気付いたのだろう。ウィンターは“えっとお”、と明後日の方を向いた。 「ご、ごめんなさいですう。わ、私も、申し訳ないこと言ってるなあって自覚はあるんですけどお……」  本人的にも不本意ではあるらしい。なんて説明したらいいのか、と口の中でもごもご言っている。 「上級神の方々にとっても、私にとっても、ウィンター・ワールドが簡単に滅んでくれちゃったら困るんですう。あの世界には、いろいろと貴重な素材もあるし、いろいろ研究対象にもなってるし。まあそんなわけだから、以前にも貴方に依頼したわけですがー」 「まあ、何かしら理由があるのはわかっているが。何故、俺が築いた秩序の網がたった百年ぽっちで破れることになるんだ?」 「それは……とても言いづらいんですけど、魔族と人間の心の隔たりが解消されなかったことにありますう」  はあああ、と彼女は深々とため息をついた。 「ようするにですね。貴方は世界征服をして、魔族にとって住みやすい世界を作ったでしょう?それが不満だった方々がいたわけですねえ」  それは想像がつく。  クロヴィスは人間達が作った多くの国々の文化や制度を強引に破壊し、作り直した。かつて人間の世界で強い権力を持っていた者達ほど反発して然りだろう。 「そんな人達は、貴方が世界征服した時、一度地下に潜ったわけです。表立って反発したら、不穏分子として殺されかねないし」 「まあそうだろうな」 「そしてちまちま反抗したところで、貴方が作った魔王軍は非常に強力ですし、貴方亡きあとも意志を継いで世界の治安維持に努めているわけです。ちっちゃな反乱分子なんてすぐに潰されて終わりでしょう?だから、考えた人がいたわけですねえ。……一瞬で、にっくき魔族を殲滅できる兵器を作っちゃえば万事解決う!と」 「待て待て待て待て」  なんというかその。  ぶっとびすぎていて、どこから突っ込めばいいのかわからない。 「まさか、そんなものを百年後に完成させた奴がいたと?それで使用されて魔族がほろ……ん?」  ここまで言いかけて、ハテ?となった。  確かに、魔族絶対ぶっ殺す光線(仮)でも完成した暁には、魔族を一瞬にして消滅させるなんてこともできるのかもしれない。もちろん、そんなものが現実的に可能かどうかは別なので、本当に完成させたのならば?の話ではあるが。
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