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サギリの叫びを聞いたクフィンは刃を撃ち出す構えを解いて、敵に向かって走り出した。
「無駄撃ちは止めておくか……」
彼のソードガントレットに装填されている刃は、ハイエルフの国で補充した物だった。
オーク達が持っていた剣や使えなくなった物などが殆どでミスリルの刃も、いくつか入っている。
クフィンは籠手から突き出た刃を使って、氷の盾を持っている戦士に近づいた。
「こいつも熔けている……ならば!」
敵は盾を構え、もう一方の手で斧を持っていたが、クフィンは盾ごと敵の腕を貫いた。
「脆いな……」
氷の戦士はもう一方の手にある武器を振り下ろそうとが、クフィンはその前に相手の腕を掴んで、体を前へ蹴り飛ばした。
「邪魔だ」
相手は体勢を崩して倒れると、水を滴らせていた頭部と腕が割れてしまった。
隠し部屋から出て来たレビアとヴァリは、すぐに周囲を見ていた。
「ミルジンはどこ!?」
「……いない様だな……ここには……」
二人は周囲を見渡したが、ミルジンと巨人の姿は見当たらなかった。
二人の先ではクフィンとサギリが氷の戦士達を次々破壊していた。
ヴァリは敵が倒されて行くのを見ていた。
「あいつら……火の属性に弱いみたいだな……強めの火で溶かす事が出来れば、たくさんいても何とかなりそうだ……」
サギリが最後の戦士を倒した。
「これで最後だ!」
彼女は氷の戦士の後ろに回り込んで、硬化させた拳を背中に叩き込んで全身にひびを走らせて倒していた。
「ミルジン!どこだ!いるのなら返事をしろ!助けに戻ったぞ!」
周囲を見回しながらサギリが叫んだが返事はない。
籠手に付着した水を振り払ったクフィンがサギリに近づいた。
「ここにはいない様だ……あの巨人もな……」
サギリは自分達がやって来た場所を見た後、奥を見詰めた。
「……戻る事っているのか?……いや……戻れば再び氷の戦士達がいる場所に戻る事になる……ならば……奥にある未知の場所に生き残る希望を見出しているはず……」
レビアは、ここに来るまでに彼女から聞いた話を思い出していた。
「確か……さっきサギリが言っていたのは、こっちなのね……なら、行けないわね……」
ヴァリは、マナサーチを発動していた。
「―――マナサーチ!」
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