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第八十三話 生存者
ここはハイエルフの王国、ブラウフェダー王国。
オリディオール島から西にある大陸エルフィニアに存在している王国である。
エルフィニアの北部と思われる場所ではオーク達が、この大陸の遥か西方から来ていて、ハイエルフ達との戦いを繰り広げている。
南側にはウッドエルフ達の広大な森林地帯が存在していて、その中にはフンババ達のリバンニの森もあった。
また、この領域を更に南下すると、人間達が支配する広い平原地帯がある。
そこはユラトがデュランと出会った場所で、今も冒険者達が聖石を使って光の領域を広げている場所だった。
エルフィニア大陸自体、まだまだ黒い霧の領域が広がっており、何が存在しているのか分からない状態で、冒険者達が少しづつではあるが、闇の霧を払い進んでいた。
そんな大陸にいたのはクフィン・ダルグレンとレビア・クレールだった。
二人は今、ハイエルフの王国から去ろうとしていたが、移動できない状態になっていた。
何故そう言う状況なのかと言うと、人を待っていたからだった。
「今日も来ないのかな~?……」
そう呟いたのはレビア・クレールだった。
彼女は今、王国の中にある滝裏の中にある一室にいた。
ここは窓から流れ落ちる滝の水が見れる場所だった。
クフィンは隣の部屋にいて、それぞれ一つの部屋を与えられていた。
食事や入浴などもでき、日々の鍛錬も出来るため、住むには良い場所だった。
「食べる物が困らないのは良いけど……」
彼女は木の椅子に座っていて、窓の外を見ていた。
「まだかなぁ……」
退屈そうにしているレビアの背中の上をフェリクスが駆け上った。
「フミ―!」
肩の上にたどり着いた彼は、少し勇ましそうに足と尻尾を立てて、そう叫んだ。
「……あんたは呑気で良いわね……」
そう言いながらレビアは彼の頭を撫でた。
「カーリオ達は、もう行っちゃったし……私達もすぐに島に帰りたいのに……」
彼女が待たされているのには理由があった。
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