校内放送で君に告白したかった

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 僕の幸せって何だろう。夜の電車で、ふとそんなことを思ってみた。車窓から望む世界はきらきら、闇夜のポッピングシャワーのようである。  僕の幸せ。  それは。北村さんとおしゃべりする時かもしれない。  思えば北村さんとの出会いは、放送室の前だった。高校に入りたての、四月のはじめ。放送部を目指して来た北村さんと僕は、放送部の部室といえば放送室だろうと勘違いして、放送室に来てしまったのだ。実は、その日の部活動の場は全然違うところだった。  じっと待って、十分くらいが過ぎたころだろうか。  僕は北村さんに話しかけてみた。 「……誰も来ないですね?」  北村さんは、驚愕の表情で僕を見上げた。無言で。 「あ、いや、あ、その」  それで僕も人見知りモードが発動してしまった。初対面の人と仲良くするには、どうしたらいいだろう。小学校から中学までほぼ同じ仲間と一緒だったので、関わり方をすっかり忘れてしまっていた。  でもとなりにいる女の子の制服はまっさらだ。セーラー服のリボンの結び方も慣れていないのか、先っちょがななめ上を向いている。  きっと、同じ一年生に違いない。
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