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「Official髭男dismの「ミックスナッツ」でした。次の曲は、B'zの「ultra soul」です」
曲をかける。
「横沢くん、ベリーグー」
と、先輩にほめてもらえた。
「はずかしいね」
北村さんに話しかけたら、北村さんは真顔でうなずいた。
先輩のベリーグーは、北村さんには中々出なかった。そして北村さんがマイクの前に座る時には、いつも誰かが心配して同席するのが暗黙の了解になっていった。
北村さんがふつうの音量でしゃべれたところがあったら、できるだけみんなほめてあげた。でも、正直に言うと、ほめるところがないことのほうがほとんどだった。
でもみんな、北村さんの陰口を言ったりとかは、全然なかった。北村さんは、放送部の大切な仲間の一人だった。
僕は、それってやっぱり、北村さんの声のせいもあるのでは、と、思っている。
北村さんの声には、きれいな光の輪郭がある。みんな、そんな北村さんの声の魅力に、知らず知らず惹かれているのではないか。僕としてはそう推察する。
ちょっと言いすぎかな。声がぴかぴか光ってるだなんて、そんなこと思うのは、声にこだわりがある僕だけかもしれない。
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