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「だからこそ、交流には気をつけなよ。間違っても、自分の写真とか送るんじゃないよ、ネッ友に」
「送らない送らない。あたし自分の顔に自信ないもん」
「そういうことじゃなくて。中学生の女の子に、邪な気持ちで近づく悪い大人っているから。そういうネットリテラシーは守りなさいよってこと。大人にこういうこと言われるとすぐ、が学生は煩い老害って騒いでくるけど……注意されるのには相応の理由があるんですからね?」
時々子供が交流SNSに自撮り写真をアップして“可愛いでしょ?”とか“ブスでごめんなさい!”とかやっているのを見るが。本当にあれは、愚かな行為だとしか言いようがない。
大人がやるのならある程度自己責任と言えるが、子供の場合は最終的に“大人が責任を取らされる”ということを忘れがちだ。それに、トラブルが起きた時に自力で解決する力もない。散々忠告したのに言うことを聴かずにトラブって、それで助けてください!となってももう遅いしみんな手を差し伸べてはくれないものなのだ。
承認欲求を満たしたくなるのはわかる。顔出しすると注目されて、人気者になれたような気になる時があるのも。
けれど顔を出せば、リアルの自分の正体が知られる可能性を恐ろしく上げてしまうことになる。服装とか、うっかり映り込んだものから住所を知られてしまうこともある。
その結果、悪意のある大人が家まで押しかけてきたら?学校帰りに声をかけてきたら?想像するだけで恐ろしいことではなかろうか。世の中には中学生というだけで興奮する大人もいるのだから(そして悲しいかな、被害者は女の子に限った話ではないし、加害者も男性とは限らないのである)。
「わ、わかってるってば。そんなきっつい言い方しなくても」
私の目がマジであると悟ったのだろう。彼女は手を止めて視線をそらしてくる。
多分、彼女は写真をアップすることはしないだろう。問題は。
「オフ会とかも基本的には駄目だからね。大手企業がやってる公式イベント以外は」
「は!?」
「……その様子。さては、誰かとそういうの企画してたね?」
ああ、ビンゴ。私は頭痛を覚えた。
ある意味写真をアップするより危ないことをしようとしていたではないか、と。
「同人即売会もほんとはOKしてあげたいけど、それ18歳になるまで駄目だから。万が一、あんたがエロ同人誌買っちゃったら相手が罪に問われるんだから」
「……バレなきゃいいじゃん」
「エロに興味があるのはわかる!めっちゃわかる!つか私も中学生の時からドエロ読みたかったわ!それでも駄目なの、あんたがそれ読んだせいで神絵師が作品を削除する羽目になってもいいわけ!?」
「あぐっ」
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