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泉との境を示す竜の石像を前に、私はつと立ち止まった。
「ヤン。それ、デマだから」
ポンコツな我が身を晒すのは不本意だけど、この際、誤解はといておかなければならない。
「デマ?」
「うちのパーティはね、私以外の三人が全員、半端なく最強なのよ。言うなれば、限界突破した勇者が三人いる感じ」
「は?」
「だってレオは光神の血を引いてるし、ミカは大賢者の昆孫で、ギュンニは鬼王の庶子だよ? いつも勝手に無双して暴れておしまい。だからね、いずれ英雄王と呼ばれる男の魔術師は、この国で最弱なんですー」
「ふ。最弱って、自分で言うんだ。じゃ、あんたは戦闘中なにしてたんだよ」
「もちろん隠れてました」
ヤンはまだ腑に落ちない顔をしている。私は苦笑した。
「じつは私ね、何代か前のおばあちゃんが、高位のダークエルフなんだ。魔物って、階級をけっこう気にするでしょ」
「っ、それで今日は、何にも出くわさなかったのか……!」
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