2 雨降り山・竜の泉

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 泉との(さかい)を示す竜の石像を前に、私はつと立ち止まった。 「ヤン。それ、デマだから」  ポンコツな我が身を(さら)すのは不本意だけど、この際、誤解はといておかなければならない。 「デマ?」 「うちのパーティはね、私以外の三人が全員、半端(はんぱ)なく最強なのよ。言うなれば、限界突破した勇者が三人いる感じ」 「は?」 「だってレオは光神の血を引いてるし、ミカは大賢者の昆孫(こんそん)で、ギュンニは鬼王の庶子だよ? いつも勝手に無双して暴れておしまい。だからね、いずれ英雄王と呼ばれる(レオ)の魔術師は、この国で最弱なんですー」 「ふ。最弱って、自分で言うんだ。じゃ、あんたは戦闘中なにしてたんだよ」 「もちろん(かく)れてました」  ヤンはまだ()に落ちない顔をしている。私は苦笑した。 「じつは私ね、何代か前のおばあちゃんが、高位のダークエルフなんだ。魔物って、階級をけっこう気にするでしょ」 「っ、それで今日は、何にも出くわさなかったのか……!」
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