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「うん。昔、旅に出るって時に、レオが言ってくれたの。『無用の争いが避けられるなら、それにこしたことはないよ』って」
「なるほど。あの三人、アクが強くて共闘しそうにないもんなぁ。ニナは仲間をまとめる要だったのか。もしや、勇者を呼びよせる体質?」
「そんな大層なものでは。うーんと、私は『魔除け』係で、あとは洗濯魔法とか、雑用全般で」
「ああ、あいつら野郎のくせに妙にこざっぱりしてたし、手刺繍入りのマント着用だったよな。ちょっと羨ましかった」
私たちはふたたび歩き出した。石像を通り越し、泉のほとりへむかう。岩肌がむき出しの小道を曲がるうち、霧がたちこめてくる。と、
「まずいな」
突然ヤンが私の手をひき、背に庇った。
「今日は竜が巣に帰ってるみたいだ。かすかに体臭がする」
俊敏なその身のこなしを見て、なんだ、この人そうとう強かったんだと思う。
あの三人を見ているうち、どうもおおよその戦闘力かわかるようになってしまったみたい。
「残念だけど、聖水はあきらめよう」
「え。なんで?」
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