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「だって、これまでずっと対等な仲間だったのに。これからは一方的に、守られる存在になるなんて」
「でもミカエルは最初から、そういう目であんたを見てたろ」
「え……え?」
「レオンハルトもギュンターも気づいてたぞ。これは俺の憶測だけど、王女とレオンハルトの仲を取り持ったのだって、たぶんミカエルだ」
「な」
「『青玉の聖騎士』は、いつだって用意周到で完璧な策士だろ。今回もそうやって外堀を埋めて、あんたを落とす作戦だったんだ」
「嘘……っ」
ヤンに容赦ない言葉を浴びせられ、私は赤くなって口をぱくぱくさせた。
この人はいつも口数少なくて遠慮がちで、人の良いお兄さんだったはずなのに。今日はなぜか怒っているみたい。
「よく考えろよ、このままでいいのか。あの腹黒聖騎士はまだ、あんたが出戻ってくるのを待ってるぞ。十中八九な」
ぽふ、頭に手を置かれて泣きそうになる。
そうか。きっと他のみんなは考えていたんだ、滅び山を攻略したその先を。浮かれていたのは私だけで――。
今までずっとレオが好きで好きで、幼なじみばかり見ていたけれど。私は本当のところ、ミカをどう思っているんだろう。
初めて真剣に、あの青髪の聖騎士のことを意識した。
私が今、本当に好きなのは誰――?
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