2 雨降り山・竜の泉

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「だって、これまでずっと対等な仲間だったのに。これからは一方的に、守られる存在になるなんて」 「でもミカエルは最初から、そういう目であんたを見てたろ」 「え……え?」 「レオンハルトもギュンターも気づいてたぞ。これは俺の憶測だけど、王女とレオンハルトの仲を取り持ったのだって、たぶんミカエルだ」 「な」 「『青玉の聖騎士』は、いつだって用意周到で完璧な策士だろ。今回もそうやって外堀を埋めて、あんたを落とす作戦だったんだ」 「嘘……っ」  ヤンに容赦(ようしや)ない言葉を浴びせられ、私は赤くなって口をぱくぱくさせた。 この人はいつも口数少なくて遠慮(えんりよ)がちで、人の良いお兄さんだったはずなのに。今日はなぜか怒っているみたい。 「よく考えろよ、このままでいいのか。あの腹黒聖騎士はまだ、あんたが出戻ってくるのを待ってるぞ。十中八九な」  ぽふ、頭に手を置かれて泣きそうになる。 そうか。きっと他のみんなは考えていたんだ、(ほろ)び山を攻略したその先を。浮かれていたのは私だけで――。  今までずっとレオが好きで好きで、幼なじみばかり見ていたけれど。私は本当のところ、ミカをどう思っているんだろう。  初めて真剣に、あの青髪の聖騎士のことを意識した。 私が今、本当に好きなのは誰――?
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