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3 雨降り山・山小屋
ヤンの予測どおり、帰り道はどしゃぶりの雨になった。
しかもいっこうに止む気配がなく、そのうち道がひどくぬかるんできたので、私たちは這々の体で山麓の小屋に避難した。
「ニナ。寒くなければマントを脱いで、入口に干しておけよ。今、火を起こすから」
どうやら山小屋に入れたのは間一髪だったようで、まだ夕方前のはずなのに、もう窓の外は真っ暗だった。
ざんざんいう水音。時折、黒雲の狭間でぴかり、稲光がちらつく。
「これはもう、今夜は泊まり決定だな」
ヤンはきびきびと荷物を解き、備えつけの薪で暖炉に火を入れる。
それから据え置きの鉄鍋を使い、手持ちの食材で料理をし始めた。
「ずいぶん手際がいいね、ヤン」
「この山はまぁ、俺の庭だからな」
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