3 雨降り山・山小屋

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「そうだ。こうやって材料調達して、冒険者に助言したり、新道具を開発したり。俺は長いこと一人だったから、なんでもできる。苦労はさせない、かならず幸せにする……」 ヤンの言葉が、じわじわと胸に染みてくる。 「なあニナ」  私の顔をのぞきこんだヤンは、敏感になにかを察したようだ。 「キス……してもいい?」 「えっ、えええ」  切なげに指で頬をなぞられ、恥ずかしさで顔に血が集まるのを感じた。 「嫌だったらしないから、そう言って」  胸がざわつく。嫌じゃない。 だって、たしかにミカの家で背伸びしながら生きるより、ヤンの隣にいたほうが自分らしくいられる。 「……いいよ」 「いいのか」 「ん。ヤンならいい」  やっと気づけた。 「私、あなたが好きみたい」 「っ、本当に」 「今、嘘つけないんでしょ……?」  やがて弾力(だんりよく)のある感触が口をふさぎ、甘い音を立てる。まぶたを閉じた。私の心は不思議なほど暖かで、ただ求められるままに唇を重ねた――。
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