1 ヴェセルの酒場

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「そういうわけにもいかないだろ、魔王を倒すために組まれたパーティなんだから。で? なにを言われたんだ、ミカエルに」 「……私に、嫁になれって」 「っ、マジで」 「うん、レオの結婚式の宴席で。ひどくない? 『こうしてリズィと結ばれ、レオも次期国王だ。私たちも夫婦になって、二人を末永(すえなが)く支えよう』って」 「っ、え待っ、リズィって誰?」 「誰って、エリザベート王女の愛称よ。ミカはドランベール公爵家の跡取(あとと)りだから、王女とはいとこで」 「うお、ちょ、ミカエルってあいつ、そんな高貴な家柄だったのか?」  ヤンは絶句している。だよね。私もレオもそういう反応だったもの。知っていたのはおそらくギュンターだけだったと思う。 「そういやミカエル、父親が大法官だって言ってたな。いいとこの貴族の(ぼん)だろうとは()んでいたが、王の血縁(けつえん)者だったのかよ……」 「驚いた? 私もー。ってか、(ほろ)び山を制覇(せいは)したあとに、真実を明かされたし」
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