天を仰ぐ

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アトスたち民の望み通り、森には果物が実っていた。 「おぉ……最高だな! 今度は男たちを皆連れて果物を取りに来よう!」 まるで楽園のようなその光景に、イアンは満面の笑み。 しかしその傍らで、アトスは真剣な表情をしていた。 「どうしたアトス? 嬉しくないのかよ?」 イアンが心配そうにアトスの顔を覗き込む。 「いや、果物が実っていたことは素直に嬉しいよ。俺が今、気になっているのは……。」 森の先、少し開けた視界の先に見えたもの。 その場所にアトスは釘付けになっていた。 それは、高く聳える山。 「なんて……大きいんだ。今まで旅した中でこんなに大きな山はなかった……。」 これまでの旅の中でも、山地にキャンプを構えたことは幾度となくあった。 しかし、アトスがいま目の当たりにしている山は、これまでの山とは比較にならないほど荘厳で、壮大であった。
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