天を仰ぐ

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今回、祈る思いで移動したベースキャンプ。 これまでいくつもの土地を渡り歩いてきたアトスたちであったが、しっかりと村を建設する直前で、災害に遭ったり野生動物の被害に遭ったりと不運が重なった。 前回は川が氾濫し水害に見舞われ、またその前の土地は開墾した畑が野生のシカの群れに食い荒らされた。 シカを狩ればいいという意見も相次いだのだが、やはり肉だけでは民たちの健康状態を維持できない。 バランスよく食事をとることが、子孫繫栄のためには不可欠なのだ。 長距離の移動を経て、ようやくたどり着いた今回のベースキャンプ。 川からは少し離れているので、氾濫しても被害を被ることはない。 林もあり、山菜だったり木の実なども採れそうだ。 「イアン、今回の場所はかなりいいぞ。少し歩けば魚が獲れるし、あっちには林があった。山菜も採れるぞ。」 「あぁ。あとは、あっちにある森だな。果物が見つかれば最高だな。この地が俺たちの楽園になればいいよな!」 アトスとイアンが散策で得たもの、それは希望。 長い長い定住地探しも、ようやく終わりを迎えようとしていた。
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