天を仰ぐ

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アトスとイアンは族長のもとへ二人で報告に行った。 ベースキャンプを展開している場所に、災害的な危険はないということ。 そして、近くに川があり飲み水など生活用水に困ることはないということ。 「そうか……。ようやく安住の地が見つかったか。これで民を増やしていくことが出来るな。今の時点で身重なものも数名いる。心穏やかに健やかな子を産んでくれれば良いな。」 「はい。それが叶った日には、いずれこのキャンプを一つの大きな集落にしたいものです。」 族長もアトスも、この地を偶然見つけられたことを喜び、今後の民の命運に希望を見出した。 「そうだ、アトス……この後どうする? 林には猛獣はいないだろうし、川には魚もいる。山菜が採れればバランスの良い食事が摂れる。現時点で充分な食材・資源は確保できそうだが……。」 イアンが言いたいのは、まだ未確認の場所があるという現状をどうするか。 川と反対方向にはそれほど深くない森があり、その奥には大きな山が聳え立っている。 アトス自身も、森と山には興味があった。 「父さん、私とイアン2人でこの先の森と山の調査をしてきても良いでしょうか?」 これは、アトスの純粋な興味だった。 未開の地を知りたい、ただそれだけである。
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