天を仰ぐ

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それから、アトスたち男たちは、毎日少しずつ道を伸ばしていき、山に挑んだ。 3合目までは、本当に自然の楽園のようだった。 見たことの無い果実、そして野菜。 男たちはこぞって収穫し、集落で民に振舞った。 アトスも、この山に挑んで良かったと心から思った。 しかし、その先から雲行きが変わった。 5合目以降は、ごつごつした岩場が続く。 緑豊かな、山の幸の宝庫だった4合目までとは全く違う姿を見せたのだ。 「半分から上は、もう魔境だな。下からでは全く見えなかったな……。」 「あぁ、4合目までは木々があれほど生い茂っていたし、奥行きもあったからな……。奥に行くほど険しくなるなんて、本当に大した山だぜ。」 アトスとイアンも、この雰囲気の違いには驚いた。 「なぁアトス、きっとここから先は岩山なのだろう。この先に自然の恵みは望めない。この山の探索はここまでにしないか?」 イアンは山の状況をしっかりと見極め、冷静かつ的確なアドバイスをした。 集落が発展していく過程に、これ以上の登山は必要ないと判断したのだ。
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