天を仰ぐ

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これは、まだ飛行技術も自動車技術も、カメラや測量計なども発達していない、少し昔の話である。 人々は、天災や気候の変化、野生動物の脅威に翻弄されながらも、それに適した建物を造り、住みやすい場所を探し、それぞれの地での恵みを食料とすることを学び、新しい生活の基盤を作っていった。 とある民族の青年・アトス。 彼もまた、住む場所を変えながら日々を凌いできた民族に生まれ、民たちの心地良い生活のために尽力してきた男である。 彼は族長の息子として人望も厚く、そして何より誠実であった。 「なぁアトス、この場所に来てもう何日か経つが、この周辺の事何も知らないだろう? 少し探検してみないか?」 そうアトスに声をかけるのは、アトスの親友であり幼馴染の青年・イアン。 彼もまたアトス同様、人望の厚い民の人気者である。 「そうだな。移動前の備蓄があるとはいえ、この地で新たな食料を調達することはこの先の生活でも必須だ。みんなが安全に食料を調達する場所を探すいい機会かもしれない。」 アトスもイアンの提案に同意し、二人は周辺を散策することにした。
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