山田くんは気づかない。

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「そりゃ完全にフラれてるね」 彩華の幼馴染である野田美由紀が気怠げに言う。 現在、午後6時半。 彩華たちはバレー部に所属しているので 休憩時間に竜登の件を相談していた。 真面目な子たちは懸命にサーブの 打ち込みに取り組んでいる。 えらいなあと思いつつも、美由紀に視線を向けた。 「だよね? わたしが傷つかないように 気づかないふりしてるんだよね! やだ、泣きそう」 「泣くなって。 にしても、あんたが あいつを好きになるなんてね」 美由紀が水筒に口をつけて喉を鳴らした。 「よりにもよって……?」 「気づいてないの?アイツの妹は……」 そこで休憩終了の顧問の掛け声が響いた。 「いや、いいや。 また次の恋があるって。どんまい!」 釈然としない気持ちのまま彩華は立ち上がり 練習に入ったのであった。
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