気づかないふりをしていた理由

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小学5年生の彩華は自分が1番でなければ 気が済まない性格だった。 だから、可愛くて優秀な 竜登の双子の妹である天音が気に食わなかった。 だから毎日のようにトイレに連れ込み サーブの練習とばかりにバレーボールを 投げつけて遊んでいた。 最初はそれだけだったのに 表情を崩さない天音に苛立ち トイレの水を被せたり、罵声を浴びせたりした。 おまえなんか消えてしまえ! その言葉にはじめて天音は涙を流した。 天音が表情を崩したのに快感を覚え その日は何回も消えろ消えろと罵った。 その次の日から、天音は学校へ来なくなり 彩華は担任から呼び出しを喰らった。 天音の母親は彩華を厳しい目つきで睨んだが 怒鳴るようなことはせず優しい口調で 彩華に言った。 あなたがした行為に天音はとても苦しんでるわ。 いじめはしてはいけないことよ。絶対に。 いじめを受けた側もいじめをした側も 苦しむことになるのよ。と。 彩華は、これで終わったと思い込んでいた。 だって、天音が自殺するなんて 思ってもみなかったのだから。
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