6人が本棚に入れています
本棚に追加
その事件を機に天音は心を入れ替え
高校生へとなり、恋をした。
でも、竜登が天音の兄だったことを
綺麗に忘れてしまっていた。
「どうやら思い出したみたいだな」
全身から血の気が引いていく。
「ご、ごめんなさいっ!!
謝る。謝るからどうか許して!!!」
「許せるわけないだろう!!
俺はずっとお前への復讐の機会を伺ってたんだ。
本当はお前を殺そうと思っていた。
だけど、それだとお前と同類になってしまう。
だからお前が俺のことが好きだとわかったときに
馬鹿な男子を演じて告白をスルーしてきた。
だけど付き纏われるのもうんざりだから
今、お前を断罪することにしたんだ」
これは一体誰であろうか。
声を荒げる竜登はいつもの優しい面影すらない。
「ど、どうしたら、許してくれるの?」
「……死んでくれ」
どん底に突き落とされる彩華を
冷たく見下ろす竜登。
「え」
「誰にも見つからないところ、
そうだな、あの山で密かに死んでくれよ。
そうしたら許してやる」
そう言って竜登が指差したのは
窓から見える深緑色の山だった。
最初のコメントを投稿しよう!