山田くんは気づかない。

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山田くんは気づかない。

「もうっ! なんでアイツは 私の『好き』に気づかないのよぉーっ!!!」 寺山彩華(てらやまあやか)は 大空に向かって叫んだ。 彩華は小学校時代から馴染みのある 山田竜登(りゅうと)に恋をしていた。 小学校時代、竜登は大人しく教室の端いるタイプの 地味な男子だった。 竜登が失くした探し物を彩華が見つけ出したとき 彼のはじめて見せた笑顔に 彩華はときめいた。 それから徐々に優しさに惹かれていき 現在に至る。 つい先程告白したのだが、返ってきたのは とんちんかんな答えであった。 「え? スキー? スキーはしたことないけど、 テレビの選手とか見てるとすごいなぁって 感心するよね」 あんたが好きだって言ってんのっ! 何をどう解釈すればスキーの話題になるのか。 大体唐突にスキーの話にならないだろう。 言い方が悪かったのかと 山田が好きなのだと言えば 「あぁわかる!ちび◯◯子ちゃんのヤマダくん 面白いよね!友達になりたいくらい!」 …… どこから突っ込めばいいのかも わからなくなってきた。 これはわたしを傷つけないように フッているのだろうか? 考えれば考えるほど意味がわからない。 彩華は大きなため息をついた。
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