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トゥルルル…トゥルルル…
…えっ?!
かかるの?鳴るの?なんで?
自分でかけておきながら心臓が止まるくらい驚いてしまった。
カーテンを開けて月明かりだけの部屋の中、いたたまれず座っていたベッドから立ち上がり窓際に駆け寄った。
携帯の画面を確認する。
間違いなく翔哉の電話番号だ。
行き場のない喪失感に浸っていた気持ちに少し恐怖が入り混じる。
いつか見たドラマのように翔哉の声で出たりするのだろうか。
確かにそんなことあったらいいなと思って携帯の番号を押した。
だけど本当に起こるとは思っていない。
混乱してる。
しかし恐怖はあるものの、どうしてかかるのかも確かめたい。
トゥルルル…トゥルルル…
呼び出し音は鳴り続く。
やはり何かの間違いでかかっただけなのかな。
あと一回鳴ったら…切ろう。
トゥル…プチッ
そう思った矢先に繋がった。
『…もしもし…もしもし?』
繰り返すその声は愛しい翔哉のものとは違う男の人の声だった。
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