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『兄貴の電話を俺が持ってたんです。しばらくは解約せずに、亡くなったのを知らない友達からかかってきたら知らせる役目を親から任されました。』 ああ、なるほど…。 『俺、瑞希さんは冷たい人間だと恨んでました。あんなにラブラブに付き合ってたくせにある日を境に全くお線香をあげに来なくなった。悲しんでたくせにそんなにコロリと忘れられるのかよと。 勝手に幻滅してました。 でも最初にかかってきた電話で誤解だとわかった。うちの親の言葉で来づらくなったのも…ずっと苦しんできたのも痛いくらい伝わってきました。 弟だと名乗らなかったのは…恨んでいたから…何だよ今さらって頭にきて…様子を探ろうとしたんだ。 話してるうちに…早く苦しみから解放されてほしいと思ってきた。兄貴だってそんなの望んでいないはずだから。 2回目にかかってきて…兄貴のことは本当に知らない人にしか心の内を話せなくなってんだなと感じて名乗らないままにしました。』 達哉くんの思いやりに涙が込み上げてくる。 彼は両手で握っていたコーヒーをひと口飲んで続けた。 『俺と電話で話していて楽しかった?楽しいって言ってたよね?あれは本当に?』 『楽しかったよ。…楽しさに戸惑うほどに。』 『俺も楽しかった。…だって初恋の人だから。』 『…えっ?!』思わず声が出てしまった。 『初めて紹介された時、控えめに笑う姿がなんて可愛いんだと思った。そこから会うたびに惹かれていったよ。 初恋の人だったから必要以上に幻滅してたのもあるんだ…でも誤解が解けて初恋は間違ってなかったとわかって…だから兄貴の次は俺を見て欲しいです。』
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