青い奴ほどよく語る #6

2/4
前へ
/4ページ
次へ
 学校の中では、場を乱すことなくつねに爽やかな笑顔と優しさを振りまく彼は、周りの女子生徒たちの恋心を刺激していた。  すでに思春期を迎えているはずなのに、太一は誰の告白にも首を縦に振らず、私は彼のそばで玉砕する女子生徒を数々みてきた。  ずっとそばでみてきた私には分かる。  最近、そんな太一の様子がおかしい。  幼馴染として彼の隣を独占できるいつもの下校の帰り道。  私の話をちゃんと聞いてくれていると思ったら、いつもより一拍遅れた中身のない返事が、最初の異変だった。  何かが太一の気を引きつけている。  いや、何かではなく『誰か』かもしれない。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加