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学校の中では、場を乱すことなくつねに爽やかな笑顔と優しさを振りまく彼は、周りの女子生徒たちの恋心を刺激していた。
すでに思春期を迎えているはずなのに、太一は誰の告白にも首を縦に振らず、私は彼のそばで玉砕する女子生徒を数々みてきた。
ずっとそばでみてきた私には分かる。
最近、そんな太一の様子がおかしい。
幼馴染として彼の隣を独占できるいつもの下校の帰り道。
私の話をちゃんと聞いてくれていると思ったら、いつもより一拍遅れた中身のない返事が、最初の異変だった。
何かが太一の気を引きつけている。
いや、何かではなく『誰か』かもしれない。
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