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「よし!じゃあ早速、俺の加護を授けよう。
俺の手を握って。」
言われるがままに豪と握手する。
「…いくよ。」
「…!」
途端に、凄まじい力が私の中に流れ込んできた。
私の中にある夜の力と反発しているのを全身で感じる。
「ぐぅ…!」
「頑張って!すぐ終わるから!」
「うぅ…」
二つの力が、少しづつ混じり始めた。
やがてそれは一つとなり、私の体全体に力が行き渡った。
同時に、力の保有量が大幅に上がった気がする。
「終わりましたか…?」
豪の方を見る。
「あれ?まじで!?」
「どうかしましたか…?」
「夜陽の力になってる!すげぇじゃん!俺も長いこと生きてるけど、2回しか見たことないよ、夜陽の力持ってる人!」
「夜陽の力…?」
「そうそう。極稀になるんだよ。夜と太陽、二つが混じり合い、一つの力になる。普通は、そうはならない。大体は、夜の力が体の右の方に、太陽の力が左の方に固まるんだ。」
「そうですか…」
自分の力は、確かに二つの力が飽和するように全身に満ちていた。
「やっぱり夜猫ちゃんが選んだだけあるね。
あ、説明し忘れてたね。夜陽の力は、夜の力や太陽の力とは違って、両方持っているからこそ、両方の性質があるんだ。
ゲームに例えると、水と雷の力を持ってる人が、雷雨を起こしたりするように。もちろん、片方だけ使うこともできる。」
「へぇ…」
私以外に一人しかいないということは、結構すごいことなのではないか。
「そのもう一人って誰なんですか?」
「あぁ、それはね…」
豪が口を開こうとした時、日はもうすっかり顔を出していた。
「あれ?痛い…」
日光に当たった途端、いつもの痛みが走った。
日光に当たれるようになったのではないのか?
「やべ。夜陽の力って、完全に体に馴染むまで時間がかかるんだよね。さ、帰った帰った。」
「先に言ってよ…」
私は慌てて家まで走った。
家に着き、自分の部屋で深呼吸すると、一連の出来事がフラッシュバックする。
夜の神の眷属になったと思ったら、太陽神に加護も貰ってしまった。
「私って浮気者だな…」
その日は浮気がテーマのドラマを見て、薬を飲み眠りについた。
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