第肆夜 太陽神と鮎

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「よし!じゃあ早速、俺の加護を授けよう。 俺の手を握って。」 言われるがままに豪と握手する。 「…いくよ。」 「…!」 途端に、凄まじい力が私の中に流れ込んできた。 私の中にある夜の力と反発しているのを全身で感じる。 「ぐぅ…!」 「頑張って!すぐ終わるから!」 「うぅ…」 二つの力が、少しづつ混じり始めた。 やがてそれは一つとなり、私の体全体に力が行き渡った。 同時に、力の保有量が大幅に上がった気がする。 「終わりましたか…?」 豪の方を見る。 「あれ?まじで!?」 「どうかしましたか…?」 「夜陽(やよう)の力になってる!すげぇじゃん!俺も長いこと生きてるけど、2回しか見たことないよ、夜陽の力持ってる人!」 「夜陽の力…?」 「そうそう。極稀になるんだよ。夜と太陽、二つが混じり合い、一つの力になる。普通は、そうはならない。大体は、夜の力が体の右の方に、太陽の力が左の方に固まるんだ。」 「そうですか…」 自分の力は、確かに二つの力が飽和するように全身に満ちていた。 「やっぱり夜猫ちゃんが選んだだけあるね。 あ、説明し忘れてたね。夜陽の力は、夜の力や太陽の力とは違って、両方持っているからこそ、両方の性質があるんだ。 ゲームに例えると、水と雷の力を持ってる人が、雷雨を起こしたりするように。もちろん、片方だけ使うこともできる。」 「へぇ…」 私以外に一人しかいないということは、結構すごいことなのではないか。 「そのもう一人って誰なんですか?」 「あぁ、それはね…」 豪が口を開こうとした時、日はもうすっかり顔を出していた。 「あれ?痛い…」 日光に当たった途端、いつもの痛みが走った。 日光に当たれるようになったのではないのか? 「やべ。夜陽の力って、完全に体に馴染むまで時間がかかるんだよね。さ、帰った帰った。」 「先に言ってよ…」 私は慌てて家まで走った。 家に着き、自分の部屋で深呼吸すると、一連の出来事がフラッシュバックする。 夜の神の眷属になったと思ったら、太陽神に加護も貰ってしまった。 「私って浮気者だな…」 その日は浮気がテーマのドラマを見て、薬を飲み眠りについた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
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