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「あ…!」
そこには、今にも死にそうな夜の神と、それにとどめを刺そうと首を絞めている化け猫の姿があった。
「は…やく…それに…拇印を…」
御札を見ると、おそらくここに拇印を押すのであろうスペースがあった。
「でも、インクがないよ!」
「自分の血で…押すのじゃ…ううっ!」
「ナにすルかシラんが…キサがシネば、「ヨる」はよりコクなる。シネ!」
「ぐぅぅぅ…」
夜の神の首がさらに絞められる。
「やめろぉぉぉぉぉ!」
私は髪留めの金属部分で指を切り、血を指の腹になじませる。痛いという気持ちはなかった。アドレナリンがでているからかもしれない。
ずれないように、勢いよく拇印を押した。
すると、頭の中にある文章が流れ込んで来て、それを口から発した。
「我は、夜の神の眷属となる者。
我は、この神社を治めんとする者。
我は、一生を夜の神に仕えると誓う者。
夜の神よ。我に力を与え給え。我も貴方に信仰の
力を与えましょう。
今ここに、契約は結ばれる。
夜の神よ、承諾を。」
「夜の闇を、光を、汝に分けると誓おう!」
夜の神が契約を承諾した瞬間、
突然、夜の神を掴んでいた化け猫の腕が弾けた。
「よくも…神社を…夜人を…許さぬ!」
夜の神から凄まじい怒気が溢れ出す。
「マずイ…!」
化け猫は死を察知したのか、慌てて逃げようとする。
「逃さんぞ!」
夜の神は手に光の刃のようなものを出し、それを化け猫に投擲した。
刃は見事に化け猫に命中し、
「グぅ!」
という声と共に、爆発した。
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