第弐夜 契約

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「あ…!」 そこには、今にも死にそうな夜の神と、それにとどめを刺そうと首を絞めている化け猫の姿があった。 「は…やく…それに…拇印を…」 御札を見ると、おそらくここに拇印を押すのであろうスペースがあった。 「でも、インクがないよ!」 「自分の血で…押すのじゃ…ううっ!」 「ナにすルかシラんが…キサがシネば、「ヨる」はよりコクなる。シネ!」 「ぐぅぅぅ…」 夜の神の首がさらに絞められる。 「やめろぉぉぉぉぉ!」 私は髪留めの金属部分で指を切り、血を指の腹になじませる。痛いという気持ちはなかった。アドレナリンがでているからかもしれない。 ずれないように、勢いよく拇印を押した。 すると、頭の中にある文章が流れ込んで来て、それを口から発した。 「我は、夜の神の眷属となる者。  我は、この神社を治めんとする者。  我は、一生を夜の神に仕えると誓う者。    夜の神よ。我に力を与え給え。我も貴方に信仰の  力を与えましょう。    今ここに、契約は結ばれる。  夜の神よ、承諾を。」 「夜の闇を、光を、汝に分けると誓おう!」 夜の神が契約を承諾した瞬間、 突然、夜の神を掴んでいた化け猫の腕が弾けた。 「よくも…神社を…夜人を…許さぬ!」 夜の神から凄まじい怒気が溢れ出す。 「マずイ…!」 化け猫は死を察知したのか、慌てて逃げようとする。 「逃さんぞ!」 夜の神は手に光の刃のようなものを出し、それを化け猫に投擲した。 刃は見事に化け猫に命中し、 「グぅ!」 という声と共に、爆発した。
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