第参夜 クーリング・オフ

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その翌朝。 私は、公園の毎日午前12時に鳴る鐘で目が覚めた。 「んん…」 不思議と、夜更かしによる倦怠感や睡眠欲、二日酔いなどの症状は無かった。 これが夜の力なのかと感激し、部屋の窓を開けた。 「痛っ!?」 私の肌に日光があたった瞬間、全身に痛みが走った。我慢すれば外に出られるレベルの痛さだが、 それでもじわじわと痛い。 「なんで…?」 そこで、私は夜の神の言葉を思い出した。 従属契約を結ぶ時、確か、「俗世の生活を捨てることになる」と言っていた気がする。 なるほど。俗世の生活、つまり、太陽の下に歩くことを、出来なくなるというわけか。 「まぁ夜の神の眷属だし、それくらいのデメリットはあるか…」 私は昼はたいして外に出ないので、そこまでショックではなかった。 気を取り直し、昨晩買ったお酒が冷えているか確認するために、冷蔵庫を開ける。 そこには、キンッキンに冷えた缶ビールがあった。 私は、我慢できずに昼間から飲んでしまった。 「犯罪的だ…この旨さ。」 まあ実際犯罪なのだが。 今の私は確か17歳だったはずなので、3年早い。 そんなことはどうでも良く、私は昨日の出来事について考え始めた。 私は、おそらく夜に魅入られたのだろう。 あの化け猫が何よりの証拠だ。 また襲ってきたりするのかな… だとしたら、夜の神は助けてくれるのだろうか。 確か、夜の力なんて後で嫌でも教えてやる…とか言ってた気がする。 いずれ私があんなのと戦うことになるのかな… でも、夜の力の便利さは今すでに実感している。 これで、どれだけ飲んでも気持ち悪くならない… ダラダラ酒を飲んでいると、いつの間にか部屋の窓から鮮やかな赤色が差し込んでいた。 もうこんな時間か… 時計を見ると、デジタル文字はちょうどPM7:00を表していた。コンビニで酒とつまみを買い、 少し早いが夕飯兼晩酌を始めることにした。 料理は牛ホルモン炒め、焼き鳥(ハツ、ねぎま、レバー)、軟骨の唐揚げ、エイヒレと枝豆だ。 まずは買ってきて冷やしておいた、ユウヒスーパードライを開ける。 プシュッという良い音と共に、シュワァーと泡が飲み口から溢れ出してくる。 私は勢いよく缶を一気飲みした。 ゴク、ゴクと喉を鳴らす。 「あ゛あ゛〜。」 キリッとした喉越しが、私の食欲を掻き立てる。 次に、アルコール度数が高いチューハイである、 でいすいを開けた。これはエイヒレと良く合う。 飲み始めて1時間もすると、私はすっかり酔っており、その後も飲み続け、気付くと時刻は10時半になっていた。 その時、突然窓から星の光が差し込んだ。
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