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「迎えに来たぞ。」
夜の神が二階の窓から私に話しかけている。
宙に浮くの便利だな…
満月の光のせいで、夜の神に後光が差しているように見える。
「迎えにって…あぁ…そういうこと…」
私は神社に行けるあの奇妙な技を身に付けていない。
「まずは、礼を言う。神主になってくれてありがたく思うぞ。じゃが、お主はまだまだ未熟じゃ。現に、儂がいないと自分の神社すら行けない。
そこで、最初は基本的な技から学ばせることにしたんじゃ。ついて来い。」
「うん…」
歪んだ視界でなんとか家から出る。
「そんなになるまで飲んで…
若いうちから不健康じゃと、この先不便じゃぞ。
…まずはそこからじゃな。」
「そうだ、二日酔いとか寝不足みたいな症状が無かったんだけど、あれってあなたがやったの?」
「そうじゃ。一時的なものじゃがな。長期的にしたいなら、早う来い。」
あれは嬉しい。酒が飲み放題だから。
私は、酔っていたのでいつもより若干口角が上がり、夜の神が用意した鳥居をくぐった。
視界が開けると、私がこの前何時間もかけて登った坂が見える。
「また登るの…?もう嫌なんだけど…」
「安心せい。今回は、宙に浮く技を教えてやろう。」
「おお!良かった…」
さすがに、またここを登るのは勘弁だ。
「お主はもう儂の眷属じゃから、少なからず儂の力が流れておる。試しに、手の先に力を込めてみろ。」
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