第参夜 クーリング・オフ

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「迎えに来たぞ。」 夜の神が二階の窓から私に話しかけている。 宙に浮くの便利だな… 満月の光のせいで、夜の神に後光が差しているように見える。 「迎えにって…あぁ…そういうこと…」 私は神社に行けるあの奇妙な技を身に付けていない。 「まずは、礼を言う。神主になってくれてありがたく思うぞ。じゃが、お主はまだまだ未熟じゃ。現に、儂がいないと自分の神社すら行けない。 そこで、最初は基本的な技から学ばせることにしたんじゃ。ついて来い。」 「うん…」 歪んだ視界でなんとか家から出る。 「そんなになるまで飲んで… 若いうちから不健康じゃと、この先不便じゃぞ。 …まずはそこからじゃな。」 「そうだ、二日酔いとか寝不足みたいな症状が無かったんだけど、あれってあなたがやったの?」 「そうじゃ。一時的なものじゃがな。長期的にしたいなら、早う来い。」 あれは嬉しい。酒が飲み放題だから。 私は、酔っていたのでいつもより若干口角が上がり、夜の神が用意した鳥居をくぐった。 視界が開けると、私がこの前何時間もかけて登った坂が見える。 「また登るの…?もう嫌なんだけど…」 「安心せい。今回は、宙に浮く技を教えてやろう。」 「おお!良かった…」 さすがに、またここを登るのは勘弁だ。 「お主はもう儂の眷属じゃから、少なからず儂の力が流れておる。試しに、手の先に力を込めてみろ。」
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