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私の右手が疼く…
私は手にありったけの力を込めた。
すると、何やら手の先に野球ボールくらいの黒い玉ができ始めた。
「うわ。なにこれ…」
「それが夜の力の源じゃ。
それを、体の中心、へその上辺りに込めてみろ。」
黒玉をへその上に移動するように念じる。
すると、黒玉は消え、腕を通り、胸、腹へと、力が移動するような感覚を覚えた。
そして、へその中心まで移動した、のだろうか。
「ほう。昔はそこで苦戦する奴が多かったのじゃが、なかなかやるのう。それならば、もう浮けるはずじゃ。試しに飛んでみろ。」
そんないきなり言われても…
私は、思いっきり地面を蹴った。
「飛べ…!」
その時、お腹の辺りにあった力が、ぐんと私を持ち上げた。
「うわあ!?」
突然の出来事に驚くも、気づくと、
私は宙に浮いていた。
「おお…すごい…!」
空を飛べたことにテンションが上がる。
「上出来じゃ。その力を使い、階段を使うことなく神社まで来い。それができれば、あとは大抵のことはできるようになる。儂は先に行き、お主がちゃんと飛べるか見ておこう。」
夜の神はそう言うと、スーっと神社まで登っていってしまった。
「早いなぁ…」
私も負けじと、夜の神の後を追う。
「うわっ!」
危うく地面に落ちるところだった。
力の制御を間違えると、落ちたり、変な方向に回転したりするようだ。
それでも、なんとか力をコントロールし、山の頂上にたどり着いた。
「やっと来た…」
「う〜む。これでは歩くのと大して変わらんではないか。次からは、もっと速く飛べるようにするんじゃぞ。」
「えぇ…」
自分は必死で飛んでいたので気づかなかったが、
そんなに遅かったのだろうか。
取り敢えず、降りようとする。
空を飛ぶのは、体力は使わないものの、夜の力を消耗すると疲労感があった。
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