第参夜 クーリング・オフ

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へその辺りに入れていた力を抜くと、たちまちに浮遊力はなくなり、地面に落下した。 「うわっ!?」 いきなり落ちると思っていなかった私は、腕から落ちて、擦り傷を作ってしまった。 「いてて…」 「大丈夫か?いや、これはちょうどいいな。次に、力を使い治癒をする方法を教えよう。」 「ちょうどいいって…」 怪我したこっちの身にもなってよ… 不満に思いつつ、夜の神の話を聞く。 「さっきの力を怪我をしたところに移動させ、治れ、治れと念じるのじゃ。」 「わかった…。」 言われた通りに、力を傷がある左腕に移動させる。 すると、みるみるうちに傷が塞がっていき、 跡形もなく消えた。 「すごい…」 「それの応用で、体の一部を強化したり、酔いを覚ましたりできるぞ。まぁ、それはもうできそうじゃな。」 「そうだね…あれ…?」 何故か突然フラフラして…目眩がする… 「しまった!夜の力を使いすぎると、肉体が疲労し、意識を失うんじゃった…すまん。忘れておった。今助けるからな。」 夜の神は慌てて私に駆け寄り、私の体に夜の力を流していく。 「はぁ…はぁ…ふぅ。」 体に力が流れていくにつれて、肉体の疲労感が消えていき、少し楽になった。 「申し訳無い。長い間夜の力の使い方など教えていなかった故、すっかり忘れておった。 夜の力は、人が保有できる量が少ない。 あまり使いすぎると、すぐこうなってしまう。」 「もう嫌だ…落ちて擦りむいたり、目眩がしたり… この契約クーリング・オフしたい…」 「くーりんぐ・おふ、とは…なんじゃ?」 「契約から一定期間内であれば契約を解除できるっていう日本の制度のこと。」 「そんなことをされては困るな…よし。もうこうならないためにも、これからは夜の力の保有量を増やす修行をしてもらう。 修行内容はとっても簡単じゃ」 そう言った夜の神は、手を少し前に伸ばした。 すると、夜の神の手の中に、何やら小さな酒瓶のようなものが出現した。
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