1人が本棚に入れています
本棚に追加
「夜の力って便利だね…」
「お主もいずれ使えるようになる。
さ、この酒を飲むのじゃ。これを飲めば、お主にとって一番効率的な修行の方法が分かる。安心せい。これを飲んでも酔ったりしないから。」
どうせなら酔いたかったな…
夜の神から酒をもらい、それを口に運んだ。
「美味しい…」
日本酒のような味がするが、夜の神の言う通り、アルコールは全く感じられない。
酒を全て飲み終わると、夜の神は私の胸に触れた。
「…えっち。」
「ち、違う!体内での酒の動きを見ているのじゃ。」
「え、この酒動くの?」
「少し違うな。正確に言うと、酒がどのようにして
お主に吸収されるか見ておる。」
そんなにすぐ分解されないと思うけど…
30秒ほど経った。
「ふむふむ。わかったぞ。」
夜の神は私の胸から手を離した。
「お主にとって最適な修行方法…それは…」
「それは…?」
「酒を飲むことじゃ。」
「それ…本当?」
「噓ではない。このような例はごくごく稀なのじゃがな。
酒ならば何でもよい。酒を飲むことで、夜の力の保有量が増える。」
「どういう原理なの…まぁ、良いか。」
酒はいつも飲んでいる。
酒を飲むだけで夜の力が増えるのであれば、
それが私にとって一番良いのだろう。
「最後に、俗世とこの神社をつなぐ、あの鳥居を作る技を教えてやろう。じゃがそのためには、まずこの神社から出なければな。階段は下れそうか?」
「ちょっとまだ難しいかも…」
「わかった。ならば、儂がおんぶしてやろう。
「えぇ…恥ずかしいよ…」
「別に、他に人がいるわけでもあるまい。
ほら、つべこべ言わんと早う儂に乗れ。」
「わかったよ…」
不服だったが、夜の神の手を借りなければ、今の私にはまだ残っている疲労感のせいで階段を下ることができない。ここは大人しく従うしかないだろう。
私は、夜の神の小さい背中にもたれかかる。
最初のコメントを投稿しよう!