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第肆夜 太陽神と鮎
そこには、不思議な男が立っていた。
整った顔に、小麦色に焼けた肌。
白いTシャツに、灰色のカーゴパンツを着ていて、首にはアクセサリーをつけている。
少し長いロン毛をなびかせ、眉は太く、黒い瞳がこちらを見つめていた。
眩しいと思っていたのはこの男が発光しているからだった。
「なんですか…?眩しい…」
なんだか、この光は長時間当たるとまずい気がする…
「あぁ、ごめんごめん。眩しかったね。」
男がそう言うと、たちまちに後ろの光は消え、
日の出の光がぼんやりと光っているだけになった。
「いやぁ〜ごめんね?君にはこの光はダメだったね。」
「あなた…誰ですか?」
「俺?俺は…豪。」
「そういうことじゃなくて…」
この人、絶対に人間じゃない。雰囲気といい、さっきの光といい、人間のものではない。
夜の神と同等、またはそれ以上の神聖さを感じた。
「あなた、何者?人間ではないでしょ?」
「鋭いね。まぁ、あれだけ後光を光らせたし、当たり前か。俺は……太陽神さ。」
「太陽神…天照大御神ってこと?あの神様は女性じゃなかったっけ?」
「あぁ、それはね、あっちが勝手に女って勘違いしただけだよ。
それで、どう?夜猫ちゃん元気?」
「夜猫って…誰ですか?」
「あ、そっか。もう違うんだっけ。今は…夜狸奴…じゃなかった。夜の神っていうんだっけ?成長したもんだな〜夜猫ちゃん。」
「あの人と面識があるんですか?」
「ああ。昔からの腐れ縁?みたいなものかな。俺は仲良くしたいと思ってるんだけど…夜猫ちゃんの方は俺をすっかり嫌っててね。」
「…何が目的なんですか?」
「冷たいね〜。もうちょっと世間話でもしたかったんだけど、まあいいや。実は、君に渡したいものがあってね。」
豪は、ズボンの右ポケットから何か取り出して、私に手渡した。
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