1人が本棚に入れています
本棚に追加
誰もいなかった。
「…気の所為か。」
疲れているなと思い、回れ右する。
少し怖くなってきたので、早足で帰る。
「おい!儂が見えておらんのか?」
「…!?」
突如後ろの、下の方から声をかけられた。
本当に怖くなってきてたが、声が子供っぽいので、なんとか勇気を振り絞り、私は再び後ろを向いた。
そこには、10歳くらいの女の子がいた。
艶がある白髪は踵まで伸びていて、人智を超えた神格そのもののような目は、右目が夜空のような紺色、もう片方は満月のような金色だ。
白い袴を着ているが、サイズが合わないのか、裾を引きずっている。そして、小さいながらもどこか神聖で、妖艶な雰囲気があった。
なるほど。身長が低いから振り返っても見えなかったのか。
私は目の前にいるのが人間で少し安心した。
「貴方、見た所小学生みたいだけど、こんな時間に何してるの?」
「儂は小学生などではない。それよりお主、今酒を買ったな?最近の、「法律」とやらでは確か20歳未満は酒は飲んではならんかったような…」
「…」
見られてたか。というか、その喋り方はなんだ…
「小学生じゃないって…じゃあ幼稚園生?」
「違う!そもそも儂は俗世の者ではない。」
「…?」
俗世の者ではないって、つまり…
「あなた、人間じゃないの?」
思ったより驚かなかった。この女の子の不思議な雰囲気に惹かれたのだろうか。それとも、単純に酔っていたからなのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!