第壱夜 邂逅

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誰もいなかった。 「…気の所為か。」 疲れているなと思い、回れ右する。 少し怖くなってきたので、早足で帰る。 「おい!儂が見えておらんのか?」 「…!?」 突如後ろの、下の方から声をかけられた。 本当に怖くなってきてたが、声が子供っぽいので、なんとか勇気を振り絞り、私は再び後ろを向いた。 そこには、10歳くらいの女の子がいた。 艶がある白髪は踵まで伸びていて、人智を超えた神格そのもののような目は、右目が夜空のような紺色、もう片方は満月のような金色だ。 白い袴を着ているが、サイズが合わないのか、裾を引きずっている。そして、小さいながらもどこか神聖で、妖艶な雰囲気があった。 なるほど。身長が低いから振り返っても見えなかったのか。 私は目の前にいるのが人間で少し安心した。 「貴方、見た所小学生みたいだけど、こんな時間に何してるの?」 「儂は小学生などではない。それよりお主、今酒を買ったな?最近の、「法律」とやらでは確か20歳未満は酒は飲んではならんかったような…」 「…」 見られてたか。というか、その喋り方はなんだ… 「小学生じゃないって…じゃあ幼稚園生?」 「違う!そもそも儂は俗世の者ではない。」 「…?」 俗世の者ではないって、つまり… 「あなた、人間じゃないの?」 思ったより驚かなかった。この女の子の不思議な雰囲気に惹かれたのだろうか。それとも、単純に酔っていたからなのかもしれない。
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